「掌の詩集」西原大輔著

(お送りいただいた本から)

 私あてにお送りいただいた本にも何のコメントをしないまま、たくさんたまりつづけています。浮世の義理を欠き続けていますが、いただいたことの記録を兼ねてまた、本を紹介していきます。

 今回は「掌の詩集」は、西原大輔さんが七五調4行、5行の定型で書き「七五小曲」と名付けた詩の小品集です。
 文庫本半分ほどの手のひらサイズのきれいな本で、箱入りです。本を開き、読んでみると、とても心にぴったりとくる懐かしいリズムがよみがえってきます。


西原さんは現在、広島大学大学院教授で、一〇数年前、国際日本文化研究センターの共同研究でお会いしました。童顔で、繊細な感じの人でしたが、その後、「谷崎潤一郎オリエンタリズム」という名著も出され、ご活躍されています。
本の紹介はこのページをご覧ください。
http://www.shichigatsudo.co.jp/info.php?category=publication&id=tenohiranoshishu

「諭吉の愉快と漱石の憂鬱」竹内真澄著

(お送りいただいた本から)

「諭吉の愉快と漱石の憂鬱」
竹内 真澄 (著)
¥ 1,785

 京都自由大学理事長でもある竹内真澄・桃山学院大学教授から送られてきました。
本の帯では、
「富国強兵路線の雪と自己本位路線の漱石。日本近代化開拓者の諭吉と日本近代化批判開拓者の漱石。明治の偉人、好敵手・好対照の二人の比較を通じて、現代日本人の心の奥底にあるふたつの魂に触れる。『日本は滅びるね』という漱石の警告を、いまどう受け止めるか?」
と紹介しています。

 あとがきには、
・諭吉は佐幕派、市民的自由主義帝国主義超国家主義からついに大東亜共栄圏まで推し進めた。漱石は、それらを胸の奥まで呼吸していたがゆえに、佐幕派的視座、社会進化論、社会的自由主義を踏まえ、社会主義をぎりぎりまで理解したうえで、「自己本位的個人主義」のカードを切った。

漱石の「自己本位的個人主義」は、私権的個人主義の現代的バージョンである新自由主義に対しても厳しい警告を投げかけている。

・日本近代化開始わずか50年で、近代思想のほとんどの概念装置を二人は出しつくしたと言ってよい。

とあり、とても興味深い指摘にあふれています。

著者略歴
竹内/真澄
1954年、高知県生まれ。1977年、立命館大学産業社会学部卒業。1982年、立命館大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。1986年、桃山学院大学社会学助教授。2002年、桃山学院大学社会学部教授。2005年、京都自由大学講師

単行本: 274ページ
出版社: 花伝社 (2013/11)
ISBN-10: 4763406817
ISBN-13: 978-4763406811
発売日: 2013/11

徹底検証 古事記 (飢餓陣営叢書) 村瀬 学 (著)

(お送りいただいた本から)

 
村瀬学さん(同志社女子大教授)から
送られてきました。村瀬さんは「『いのち』論のはじまり」や「なぜおとなになれないのか」から、「次の時代のための吉本隆明の読み方」など多彩で精力的な執筆活動をされ、その領域の幅広さ、深さに圧倒されます。
 今回の新刊は、また新しい分野に独自の視点から迫っています。これを読みこなすのは、かなりの心構えが必要とされますし、とりあえず本の紹介をさせていただきます。

徹底検証 古事記 (飢餓陣営叢書) [単行本]
村瀬 学 (著)

価格: ¥ 2,310

内容紹介
「火・鉄の神々」はどのようにして「日・光の神々」にすり替えられたのか? 従来のアカデミズムには、古事記を「瑞穂の国」のあらすじにそって解釈してきた歴史がある。そこには本居宣長以来、古事記を稲作共同体とその国家の物語とみなすイデオロギーがあった。その結果、そうした読みではどうしても解釈できない情景がたくさん残されてきた。本書は旧来の読みに対して、古事記は「鉄の神々の物語」であるという視座を導入して、新たな読みを提示する。古事記は「火の神・鉄の神」が「日の神」にすり替えられた物語だという読みである。まったく新しい古事記解読の一ページを切り開く画期的試み!

出版社からのコメント
「火・鉄の神々」はどのようにして「日・光の神々」にすり替えられたのか? まったく新しい古事記解読の一ページを切り開く画期的試み!

342ページ
言視舎 (2013/10/31)
ISBN-10: 4905369703
ISBN-13: 978-4905369707
発売日: 2013/10/31

大阪自由大学通信12号です。

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2013年11月1日      (転載・転送歓迎)
大阪自由大学(Osaka Freedom University)通信 12号
                         学長 木津川 計
                        http://kansai.main.jp/
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★開催予定のご案内
●上倉庸敬さん(大阪大学教授)が語る「映画の楽しみ」を好評開催中

「大阪の人情―その泣き笑いとしたたかな世界―」
 大阪に生きる人々は、ごく普通の庶民といえども、どうしてあれほど鮮やかで、人間味があふれているのでしょうか。銀幕からは、さまざまな喜び、哀しみを通して人間という性(さが)がくっきりと立ちのぼってきます。映画に描かれた大阪についていくつなのシーンを取り出し、多彩な視点から語りあいます。
第1期シリーズ「大阪に生きる」
<第3回>11月14日「王将」(将棋名人、坂田三吉をとりまく人情劇。阪東妻三郎主演。1948年。伊藤大輔監督)
<第4回>11月28日「どついたるねん」(赤井英和主演でボクシングを映画化。原田芳雄主演。1989年。阪本順二監督)
<第5回>12月12日「貸間あり」(井伏鱒二原作。藤本義一脚色。フランキー堺主演。1959年。川島雄三監督)
  (いずれも木曜日18時半〜20時。 定員40人。参加費、1000円)
  会場、おおさかシニアネット

●新企画「東アジアを考える」
 東アジア情勢をめぐって日本は隣国との大きな難題に直面しています。大阪自由大学は、このようなときにこそ、歴史的、文明的視点から冷静に学びあっていきたいと考えています。
 まずは足元の大阪の地から東アジアへ、そして現代から古代へと幅広い視野をもちたいと思い、連続講座を企画しました。第1期として「大阪に見る日本と朝鮮半島」を開講します。みなさんからも多彩な企画を提案していただき、ともに充実した講座内容にしたいと願っています。
 ■第1期「大阪にみる日本と朝鮮半島」■
<第1回>11月18日(月)「共生から共感へ―多文化社会への第一歩―」伊地知紀子さん(大阪市立大准教授)
<第2回>12月2日(月)「在日のオモニから学ぶ」稲富進さん(元天王寺夜間中学教諭)
<第3回>12月16日(月)「大阪と朝鮮戦争」西村秀樹さん(近畿大学教員)
 いずれも月曜日18時半〜20時。定員20人、参加費1000円。
 会場 大阪自由大学北浜教室

●フォーラム「認知症。みんなでのりきろう2025年、大阪」
 11月21日(木)、13:00〜16:00
 会場:大阪大学中之島センター佐治敬三記念講堂(センター10F)
  (大阪市北区中之島
講演内容
・「我が国の認知症医療の動向」数井裕光さん(大阪大学大学院医学系研究科)
・「大阪の認知症推計」上田博司さん (大阪大学大学院人間科学研究科)
・「大阪市域における認知症対策の現状」中西亜紀さん( 大阪市立弘済院附属病院)
・「認知症の薬物治療 〜現状と未来予想図〜」田熊一敞さん(大阪大学大学院薬学研究科)
 定員180人(先着順)、入場無料です。申し込みは大阪自由大学へ。

●連続歴史講座「大阪精神の系譜―その源流を探る」
■第3期「戦前の時代」■
 都市・大阪のありようを近現代史を踏まえながら見つめていくシリーズは10月から第3期に入ります。「商都」に「軍都」の側面があったことを物語る大阪砲兵工廠。交差点で起きた兵士と巡査のもめごとが陸軍と警察の対立にまで発展した「ゴーストップ事件」。そして「漫才作者」秋田實の誕生。これら戦前に見られる大阪的な諸相を取り上げていきます。第8回と第9回は開催時間が異なりますので、ご注意ください。

<第8回>11月15日(金)18:30〜20:30、キャンパスポート大阪。
「『ゴーストップ事件』の真相―なぜ警察と陸軍が対立したか―」
講師 宝塚大学教授 朝野 富三さん
<第9回>12月14日(土)14:30〜16:30、キャンパスポート大阪。
「わが父、秋田實の背中―漫才作者の「戦争と笑い」―」
講師 童話作家 藤田 富美恵さん
 いずれも参加費1000円。定員40人(先着順)


■第4期「戦後の再出発」の内容も決まりました!
 都市・大阪のありようを近現代史を踏まえながら考えていくシリーズの戦後編。戦災で焦土と化した街は占領下、どんな再生の道を歩んだのか。一方、GHQの影響はどうだったのか。大阪の戦後の軌跡をたどっていきます。
<第10回>2014年1月10日(金)18:30〜20:30、キャンパスポート大阪。
「戦後復興の夢と現実―占領下の街づくり―」
講師 桃山学院大学名誉教授 芝村 篤樹さん
<第11回>2月7日 (金)18:30〜20:30、キャンパスポート大阪。
「焼け野原に誕生した夕刊紙―華僑が発行した『国際新聞』―」
講師 新風書房代表 福山 琢磨さん
<第12回>3月7日(金)18:30〜20:30、キャンパスポート大阪。
「『ど根性』から含羞へ―“帝塚山派″への評価―」
講師 雑誌「上方芸能」発行人 木津川 計さん
 
●森西真弓さんの歌舞伎鑑賞講座「歌舞伎を楽しむ」
<第1回> 11月11日(月)「成立と特色」
<第2回> 11月25日(月)「舞台と演技」
<第3回> 12月 9日(月)「演目の分類」
  いずれも18時半から20時、おおさかシニアネット。
  定員 40人(先着順)。参加費1000円

歌人道浦母都子さんによる短歌講座「短歌の楽しみ」
  第2期スタート。11月16日(土)、12月21日(土)。
  2014年1月25日(土)
   14時〜16時、キャンパスポート大阪。
   定員 20人(先着順)。参加費1000円

●大阪自由大学「読書カフェ」を開設!
 11月9日(土)17:00〜、大阪自由大学北浜教室。
 定員 20人。参加費、500円(ドリンク付き)
 案内人、三室勇さんからのお誘い
 「次回は有馬哲夫『CIAと戦後日本―保守合同北方領土再軍備』(平凡社新書 2010年刊を取り上げます。
 前回の『永続敗戦論』で論じられた日本の戦後は、冷戦体制に移行した戦後世界において、米国が日本に反共の砦としての役割を与えたことが大きかったといえます。
 米国は占領期を通じ、日本のアメリカ化を進めていきました。1952年の「主権回復」後の戦後体制形成にもCIAを通じて、さまざまな工作が行なわれます。その一端を『CIAと戦後日本』でみることにしたいと思います。
 占領期日本を見直すこと、いま大事だと感じています。山本武利『GHQの検閲・諜報・宣伝工作』(岩波現代全書)は、占領期の米国の公開文書を使って、アメリカ化の実態に迫っています」
 今後、毎月第2土曜日に開催します。

●懇話会「いまを語る―大阪自由大学のつぶやき―」
 激動する世界をどのように読み解き、何を伝えていけばいいのでしょうか。景気回復の見通しは不透明で、日本の外交、TPP、社会保障など難問は山積しています。まずは、身近な、足元の課題からぼちぼちと語りあってみたいと思います。ひとまず大阪自由大学のスタッフをはじめ、応援団のみなさんにさまざまな問題提起をしていただきます。気楽にご参加ください。(参加費は会員無料です)
<第6回>11月6日「大阪の不健康―太閤さんの昔から―」小野啓郎(大阪厚生年金記念病院名誉院長)
時間は18時半から20時。毎週火曜、最終回のみ水曜。
会場は、大阪自由大学北浜教室。定員20人(先着順)
参加費は、1000円(ただし会員は無料)
 
 詳細な開催日時、場所は大阪自由大学ホームページ
http://kansai.main.jp/をご覧ください。
 大阪・自由大学の活動にはどなたもご参加いただけます。大阪の課題に限らず、いまの日本、世界の動きをみつめながらともに考えていくべきテーマについてご意見、ご提案をお寄せください。
(大阪自由大学は、会員によって支えられています。特別会員(年額1万円)になっていただければ、年間を通してすべての催しに無料で参加できます。詳細はホームページをご覧ください)
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大阪自由大学 大阪府吹田市豊津町9−22 大同門ビル7階(〒564-0051) 
電話 06−6386−4575  FAX 06−6386−1893
E-mail: kansaiforum@gmail.com  URL: http://kansai.main.jp/
                    発行責任者 池田 知隆
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三池爆発50年展の大阪展が11月9日から16日まで、エル・おおさかで。

三池炭鉱炭じん爆発50年展が、京都に続き、大阪でも開かれます。

10時から18時(15日のみ20時まで、11日は休館)
エル・ライブラリー(大阪産業労働資料館)
大阪市中央区北浜東3−14、エル・おおさか4階

入場無料。

会期中にCO中毒映画「三池からの報告」など関連フィルムを上映。



京都展も10月28日まで開かれ、多くの市民が訪れていました。
京都展の開催風景

三池炭じん爆発から50年の節目の年。シンポジウム「原田正純追悼 三池、水俣…そして福島 〜 専門家の責任とは何か」が福岡市内で開催。11月9日。

 今年は三池炭じん爆発から50年の節目の年。シンポジウム「原田正純追悼 三池、水俣…そして福島 〜 専門家の責任とは何か」が福岡市内で開催されます。 主催の三池CO研究会は設立当時から故・原田正純も一員として資料収集などに当たってきました。最後は副会長として史料集刊行の任に当たりました。水俣とともに「車の両輪」(本人談)だった三池での原田の業績をたたえ、その死を悼むため、ご遺族の了解を受けた上で、本シンポでは原田の追悼を掲げることに致しました。

●主な式次第
■演題
原田正純追悼 炭じん爆発50年
三池、水俣…そして福島 〜 専門家の責任とは何か
■主催
三池CO研究会(会長・美奈川成章、副会長・大原俊秀)
■日時
2013年11月9日12時〜(終了予定:16時30分)
■場所
九州大学医学部百年講堂会議室(福岡市東区馬出3?1?1、電話:092-643-8867)
■入場料
700円(資料代として)
■主な内容
《基調報告》
美奈川成章(三池CO研究会会長)
「炭じん爆発50年 〜 その教訓と課題を探る」(仮題)
《報告》
鎌田慧氏(ルポライター)「三池と福島」(仮題)
津田敏秀氏(岡山大学教授)「水俣と福島」(仮題)
《現地からのメッセージ(ビデオ)》
松尾螵虹(三池CO研究会、元三池CO家族訴訟原告)
《パネルディスカッション》
テーマ「専門家の責任とは何か」
司会 木村英昭(三池CO研究会、朝日新聞記者)
パネラー 鎌田慧氏、津田敏秀氏、美奈川成章
《総括報告》
黒田光太郎氏(名城大学教授)

●企画趣旨
三池の炭じん爆発は死者458人のほか、労災認定されただけで一酸化炭素(CO)中毒患者839人を出す戦後最悪の炭鉱事故となりました。
この事故で問われた最も重要な論点が「専門家の責任」でした。
「風化砂岩説」を持ち出して会社側の過失を放免しようとしたのは九州鉱山学の権威とそれに付き従う工学の専門家でした。また「組合原性疾患」という非科学的な見方を医学の診断に持ち込み、患者の切り捨てに手を貸したのは九州大学医学部を中心とする医学者たちでした。行政は「専門家の意見に従った」と言い、専門家は「決めたのは行政だ」と言いました。当事者たちはこうした専門家の「お墨付き」をひっくり返すのに膨大な時間と費用を強いられました。こうした専門家が当事者と対立する構図は時期を重ねるように水俣でも起こりました。
三池や水俣で起こった歪な専門家の立ち位置はただされたのでしょうか。
主催者の三池CO研究会で副会長を務めていた原田正純は三池や水俣での体験に根ざして、亡くなる直前まで福島原発事故を招いた「専門家の責任」を問うてきました。
事故から2年半が経ちましたが、いっこうに収束の道筋さえも見えず、いまも15万人以上もの人たちが避難生活を強いられています。「安全神話」を振りまいていた専門家は沈黙を守るばかりです。また、福島県は県民健康調査を実施して県民の「被曝と健康」の関連を探っています。多くの子どもたちに小児性甲状腺ガンの疑いが指摘されていますが、「被曝との関係はない」と片付けていいものでしょうか。三池や水俣にかかわり、いま福島でも発信を続ける講師の方々をお招きして、三池や水俣を通じて光を当てられた「専門家の責任」を明確にしながら、その教訓はどのように福島などで生かされるべきか、当事者と専門家はどのような関係にあるべきか、それらを考えていきたいと思います。

●問い合わせ
福岡城南法律事務所(美奈川弁護士):092・771・3228

【講師・パネリスト略歴】
鎌田慧(かまた・さとし)/1938年青森県生まれ。ルポライター。早稲田大学卒業後、新聞・雑誌記者を経てフリーに。『自動車絶望工場 ある季節工の日記』『去るも地獄残るも地獄 三池炭鉱労働者の二十年』『国鉄処分 JRの内幕』など労働問題に関する著作は多数。原発に関する著作も多く、中でも『六ケ所村の記録 核燃料サイクル基地の素顔』は毎日出版文化賞を受賞した。福島原発事故を巡っては、作家の大江健三郎さんらと「さようなら原発一千万人署名市民の会」の共同代表を務めている。
黒田光太郎(くろだ・こうたろう)/1949年福岡県生まれ。名城大学教授。工学博士(材料科学工学)。九州大学大学院博士課程後期課程単位取得退学。名古屋大学教授、高等教育研究センター長、教養教育院副院長などを歴任。柏崎刈羽原発の耐震性などを審議する新潟県設備小委員会の委員を務めている。共編に『福島原発で何が起きたか 安全神話の崩壊』(2012年、岩波書店)がある。科学技術と人間のあり方を論じた発信も多く、技術者として責任ある仕事をするための指針を提示した編著として『誇り高い技術者になろう 工学倫理ノススメ』(第2版、2012年、名古屋大学出版会)がある。
■津田敏秀(つだ・としひで)/1958年兵庫県生まれ。岡山大学大学院環境生命科学研究科教授。専門は疫学、環境医学。岡山大学医学部卒業。昨年、水俣病と疑われる人を鹿児島や熊本県の保健所に届けることで、実態調査を怠る両県の姿勢を批判した。〈3・11〉後は、福島県双葉町のアドバイザーも務め、疫学の立場から福島県民の「被曝と健康」の問題について発信を続けている。11月には『医学的根拠とは何か』を岩波新書で出版予定。著書に『医学と仮説 ― 原因と結果の科学を考える 』(2011年、岩波科学ライブラリー)、 『医学者は公害事件で何をしてきたのか』(2004年、岩波書店)、『市民のための疫学入門 ― 医学ニュースから環境裁判まで』(2003年、緑風出版)。

【「三池CO研究会」とは】
1971年、三井鉱山を相手取った裁判の可能性を検討する会として発足した(1次)。その後、提訴に向けた原告支援の活動を本格化させるため、1972年12月1日に再発足した(2次)。美奈川成章、増子義久、原田正純(故人)ら、法律家や医師、ジャーナリストらが参加した。1993年3月にあった福岡地裁判決後に自然解散したが、史料集を刊行する目的で、1999年10月25日、新たに立ち上げ、現在に至る(3次)。史料集は2期にわたって『三井三池炭じん爆発事件史料集成』として柏書房から刊行された。1次から3次まで、会長は技術論が専門の星野芳郎(故人)が務めた。3次では原田と美奈川が副会長を務めた。星野、原田の死去を受けて、2013年8月7日、会長には美奈川、副会長には大原が就く。

「福島の現状と子どもたちの人権」

(お送りいただいた本から)

「福島の現状と子どもたちの人権」
 ―國分俊樹講演会―


佐々木賢・阿部忠 編
出版社 本の森
800円+税
ISBN978-4-904184-60-8

 福島県の小学校教諭、福島県職員組合書記次長、福島県平和フォーラム事務局次長の國分俊樹さんの今年6月、東京都文京区民センターで行った講演内容を収録したもの。

 福島の学校で原発事故後、どのような状態におかれているのか。学校現場からみつめた子どもたちの状況と教師たちの悩み、取り組みなどをまとめている